私の演技の師匠は残念なことに亡くなってしまいました。もっともっと話したいことが沢山あったのに。もっともっと一緒にやりたいことがあったのに。
でも私に多くものを残してくれました。まず私の心と身体をバラバラにしてくれたんです‼
バラバラ?なんか悪いことのように聞こえますが、コチコチに固まった私の心と身体を解してくれたんです。これは理屈じゃないんです‼
師匠は頭がいい上に感性の人でした。勿論、理屈も教えてくれました。理屈を知ることも大切なことです。それを具現化するためには道具が必要です。その道具を師匠は沢山持っていたんです。その使い方も様々でした。
師匠は心と身体を解してくれただけではなく、道具と使い方を残してくれました。
そして、もうひとつ
『志』を残してくれました。
いつか淳さんとやりたいと言って、井上ひさしさんの「父と暮らせば」を稽古の帰り際に手渡してくれました。これが彼女から預かった『志』です。
その夜、それを読みました。泣きました。内容は勿論のこと、こんなに凄い作品を私とやりたいと言ってくれた師匠の顔を思い出し涙しました。
そんな矢先、ある事情で稽古が出来なくなったんです。ショックでした。今、稽古が出来なくなったら蛇の生殺しです。「あんな素敵な台本があるのに稽古が出来ないなんて‼️」 どうしても稽古が続けたかったので、知り合いに頼み込み、なんとか稽古場を貸してもらえることになりました。再開することが出来たんです‼️
私は夢中でセリフを覚えました。舞台の最中だったんですが楽屋やホテルで必死で覚えました。なんとか全幕を覚えきりました。
さぁ‼️舞台が終わり喜び勇んで稽古に向かいました。
師匠の第一声。
「淳さん‼️セリフになってます」
えーっ‼️だってセリフですよね‼️(心の声)
「自分の言葉にして下さい‼️」と師匠。
そうなんです。映画で観た、原田芳雄さんのような感じになっていたんです。
セリフを機械的に入れるということを知らなかったんです。後で教えてもらいましたが。そのときは知らずに勢いで覚えてしまいました。
早速また師匠と先輩にバラされました。創造ってはバラされの繰り返し。
でも、バラされる度に幸せを感じました。役者はMなんです。私が😅
この演技を習っていたときのことは映画を観るようにワンシーンワンシーン鮮明に覚えてます。
あなたの教えが今、若い役者さん達に引き継がれてます。
これからも、バージョンアップして伝えていきますからね。
私をバラバラにしてくれた師匠、本当にありがとうございました🙇
あなたのくれた志、実現します‼️
皆さん、ありがとうございます。今日は少し長くなりました🙇